認知症ばあばが話した広島弁とか古い言葉を記録しておく

この記事では、そこそこ重度の認知症のばあちゃんが唐突に発した古い言葉や言い回し、方言について今後のためにメモしておきます。
うちの母方のばあちゃんは認知症です。2025年で77歳です。昭和22年生まれと本人は言っていますが、認知症なのであっているかは分かりません。
多分認知症の中でも結構重度なほうだと思います。へたしたら一人でトイレや食事ができないです。
そんなばあちゃんがたまーに訳わからない言葉を言う時があります。何となく意味が分かるようなものもあれば、まったく見当がつかない言葉もあります。
未来のために記録として残しておきたいと思います。
【注意点】記録以外の意図はないです
うちのばあちゃんがそうなのか昔の人が全員そうだったのか分かりませんが、結構平気で現在でいう放送禁止用語(差別用語)を言っています。
聞いた時は全く意味が分からないんですが、あとあと調べてみるとがっつり差別用語だった…みたいなことが結構あります。
昔の人ってそういうもんなんですかね?本当にまったく悪気ないように言うのでびっくりします。
念のため書いておきますが、誰かをけなす意図は一切ありません。ばあちゃんが言った言葉をメモしておくだけです。
ばあばが言った言葉一覧
ほいとうする
「私、あれほいとうしようかしら」、「ほいとうするんですか?」って感じで言っていました。
本人に聞いてみると「どういう意味かしら」と言うんですが、何となく言うタイミングで分かります。何かを食べる前に言っています。
多分食べる、つまみ食いする…みたいなニュアンスだと思います。
広島弁独特の方言なのか、全国で使われていた昔の言葉なのかは分かりません。
あいのこ
「あの人あいのこかしら?」、「まぁ素敵な髪色ねぇ。あいのこ?」って感じで言っています。
外国人っぽい人を見た時に言っているので、多分外国の人・ハーフの人…みたいなニュアンスだと思います。
インターネットで調べると戦後に使われていたがっつり差別用語っぽいです。
参考:あいのこ(ハーフ)は差別用語ですか – 差別用語です。元々は、第二次世界大戦後… – Yahoo!知恵袋
認知症ばあばは金髪(僕)が大好きみたいで「まぁ素敵ねぇ…。あいのこなの?いいわねぇ~うらやましいわぁ」って感じで誉め言葉っぽく言っています。
たわん
届かないって意味です。これは僕もよく使っています。広島弁だと思います。
高い場所にある物をとろうとしてとれなかった時に「あぁ~たわん!」とか「たわんわ~~」って言っています。
おしになった
僕が何かに集中して喋らなくなったら「おしになっちゃったんかしら?」とか「おしになったのよ~~」って感じで言っています。
調べてみるとがっつり差別用語でした。「おし」というのが目が見えない人や耳が聞こえない人などを揶揄する差別用語だったようです。
参考:不快・差別用語の考え方
僕に言う時は僕が黙った時なので、やっぱりそういうニュアンスなのかなと思います。
本人は悪口って感じでは言っておらず、「あら?静かになったわね?」くらいの感覚っぽいです。昔の人ってそういう節ありますよね。
あんまが上手
背中を押している時によく言っています。マッサージとか肩たたきみたいなことだと思います。
「まぁ、あんまが上手ねぇ」、「あんまが気持ちよかったわ~。ありがとね~」って感じです。
かばちたれるな
ちょっとこれははっきり「かばちたれるな」って言っているかどうかわからないです。まだ数回しか聞いたことがなく、よく聞こえなかったので「かばちたれるな」じゃないかもしれません。
かばちぶれるな、かばっちれるな、かばちたてるな…ここらへんな感じです。聞く感じは「かばち」と「たれるな」が区切りのような気がします。
ばあちゃんが幼少期の思い出を話している時に「よく宿題やらなかったらかあちゃんに”〇〇(名前)!かばちたれるな!ベシッ”って叩かれたのよぉ~」って言っていました。
多分「文句言うな!」、「口答えするな!」みたいな意味にあたる言葉だと思います。
そうだとしたら「かばち」が文句、減らず口的な意味で「たれるな」は「垂れるな」で言うなってことなのかなぁと思います。さっぱり分かりません。
エアコン
あのエアコンです。
ばあちゃんは何の機械に対してもエアコンって言っています。僕のパソコンもスマホも全部「エアコン」って言っています。
あくまで僕の予想なんですけど、ばあちゃんが若い時のいわゆる最先端的な象徴がエアコンで、その記憶が残っているせいで何か最先端っぽい機械を見たらそう言ってしまうんじゃないかなと思います。
認知症ならではの思考回路って感じがします。
「これはスマホって言うんだよ」って言ったらその時は「あ、そうそう!スマホって言うんでしたね」って言い直すんですけど、翌日には…いや何なら3秒後にはまた「エアコン」って言っています。
しゅうほうどう
方言でもなんでもないんですが、山口県美祢市にある「秋吉台」のことを「しゅうほうどう」って言っています。
僕は「あきよしだい」っていう言い方しか知らなかったので、そういう呼び方が昔あったのかなと思い調べてみると、間違った読み方っぽいです。
■秋吉台・秋芳洞について
Q. 秋芳洞の読み方は「あきよしどう」と「しゅうほうどう」とどちらが正しいのでしょうか?
A. 正しい読み方は「あきよしどう」で、「しゅうほうどう」は誤った読み方です。
よくある質問 – 美祢市立秋吉台科学博物館
秋吉台の中にある秋芳洞という鍾乳洞を「しゅうほうどう」って呼んじゃっているっぽいです。
本人は洞窟のことを言っているんじゃなくて、あの平原(秋吉台)全体を指して言っている気がします。
きっぽ
「〇〇先生はおでこにきっぽがあったの。だからみんな〇〇のきっぽって親しみを込めて呼んでいたの」って感じで言っています。
本人に「何か別の言い方ある?きっぽってどういう意味?」って言うと「そりゃきっぽはきっぽよねぇ」で先に進まなかったので調べてみるとどうやら傷のことを言っているっぽいです。
参考:きっぽの意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書
確かに前後の文章的にはおでこ(額)に傷があったからそう呼んだって感じでした。
がいじん
外国人のことをそう呼んでいます。
僕が小さい頃くらいはまだ外人って言い方もあったと思うんですが、今はもう差別だってので言わないですよね。
ちゅうき
「ちゅうきになっちゃったんかしら?」って感じで言っています。漢字だと「中気」なのかなぁ。
調べてもあんまりピンとはこなかったんですが、多分差別用語です。
意味的には手が震えている人、脳震盪をおこした人、だんまりした人…みたいな感じだと思います。実際僕が静かになった時や貧乏ゆすりしている時に言っている気がします。
みつゆび
手の指三本合わせてお行儀する時に言っています。
「三つ指ついてしっかりお行儀しましょう」って感じで言っています。
昔の人はお見合いが主流でその時の挨拶マナーでそう言われた?っぽいようなことも言っていました。三つ指ついて旦那様に正座でお辞儀しなさいとかなんとか。
今からしたら女性差別ってなりそうなんですが、その時代を生きたばあちゃん本人はそれが当たり前って価値観なので差別とは思ってないようです。
逆に僕(男)が冗談で泣く真似したら「まぁ男なのに情けないわねぇ~(笑)男が泣くなんてちゃんちゃらおかしいわ」と笑いながら言うので、多分その時代はお互いがお互い男女こうあるべきっていう思想が強かったのかなと思います。
遊びでじゃんけんしてばあちゃんが勝ったら「まぁ、私どうしましょう。男に女が勝つなんておかしいわねぇ…。まぐれですまぐれ。気を悪くしないでください」とすぐに言ってきます。
「男が勝つのが当たり前なの?」と聞くと「当たり前じゃないですか。男のほうが強いでしょ。女は弱いでしょ。だから女が勝つのはおかしい」って言っています。
その価値観は古いといいたいところなんですが、その時代を何十年も生きて脳みそにこびりついたまま認知症に突入しているのでもうどうしようもないです。
のける
何かをどかす時、何かを外す時に使っていると思います。
「手袋のけますね」、「あなたのいてください!」って感じです。
べっぴん・そっぴん
綺麗な人を見たら「べっぴんねぇ~」って言っています。
一方で自分を鏡で見た時なんかに「あたしはそっぴんね、そっぴん」って感じで言っていました。
べっぴんは僕も知っていましたが、そっぴんは知りませんでした。逆の意味でいわゆるブサイク・平凡な顔みたいなニュアンスっぽいです。
人に向かって言うことはないんですが、時たま自分に対して言っています。
そのたびに僕が「いや、べっぴんよ。20歳若く見える」って言うと、すぐに「そうよ、あたしはべっぴんなのよ。ずっと言っているでしょ」と切り替わっています。
認知症って数秒前と言っていることが真逆になることなんかザラ(というか日常)です。人間って面白いなぁとつくづく思います。
ごういらす
最初何て言っているのか分かりませんでした。業を煮やす?ごういやす?ごうをいらす?ごーいらす?でハテナでした。
よくよく聞いてみると「ごういらすわねぇ~。ありがとうございますねぇ」、「あなたはごういらしてばっかり!しゃきっとしなさい!って昔怒ったことがあるのよね~」と「ごういらす」と言っていることが分かりました。
しっかり聞き取れてからも意味がまったく想像できなかったんですが、前後の文章から読み取るとどうやら面倒かけてごめんね的っぽいです。
僕の母親(ばあちゃんの娘)に聞いてみても、他の方言は結構意味知っているのに「ごういらす」はよくわかんないって言っていました。ただ、母親も文脈的にはそういう意味(めんどうかける)だろうって言っていました。
当の本人に聞いても「ごういらすはごういらすわよ。」の一点張りで他の表現を知らないみたいです(笑)認知症じゃなかったらうまく置き換えられる言葉説明してくれそうなんですがねぇ…。
ネットで調べるとやっぱりそういう意味っぽいです。
ばあちゃんと接してなかったら多分一生聞くことない言葉だったと思うので、一つ賢くなれた気分です。
いたしい
僕も余裕で使っています。
僕も日常で使いすぎてばあちゃんが言ったところで気にしないんですが、ふと「あ、これもそういや広島弁だっけ」と思い出したので書いておきます。
僕は「めっちゃいたしいなこれ」、「いたしかったわぁ。どっと疲れたわ」って感じで言っています。ばあちゃんは「いたしいわねぇ~」って感じです。
ニュアンス的には難しい、大変、やねこい(めんどくさい)って意味です。
〇〇しんさい・きんさい
「〇〇しなさい」、「またきなさい」って意味です。
「昔ね、おかあちゃんに宿題しんさいってぶち怒られたの」、「今日はきてくれてありがとね~また時間ある時にきんちゃいね~(きんさいね)。いつでもまっとるけぇねぇ~」って感じです。
僕もたまに使っているような気がします。
ばあちゃんはもう誰かに指示するようなことはないので自分から使うことはないんですが、ふと昔話、それこそおかあちゃんにあれこれ言われた思い出話などをする時に登場します。
ぶち
これ広島弁です?何か当たり前に使いすぎて広島弁って感覚なかったです。
超、めっちゃって意味です。「ぶち怒ったけぇ」、「ぶちテンションあがった」、「ぶちうまい」って感じです。僕もたまに使うし、ばあちゃんも日常の会話でたまにでてきます。
ほうていく
深夜に起きてトイレ行くとき、ふらふらで立てないので「ちょっとほうていくわね」って感じで言っています。
四つん這いで這っていくって意味です。
感想
以上、そこそこ重度の認知症のばあちゃんが唐突に発した古い言葉や言い回し、方言についてでした。
ばあちゃんの孫、子供の子供である僕が知らない言葉も沢山あるので、思いのほか言葉の流行り廃りって地球の歴史を考えると早いのかなぁ…と思います。
僕が今当たり前に使っている言葉ももう僕の次の次の世代にとっては訳わからない言葉になっているんだろうな…とか思いながら、そう何十年と残されていない認知症ばあばと暮らしています。
長生きしてほしいもんですな。